2016/8/24

総合・マクロ

ロシア投資基金がトルコ建設大手と提携、最高4億米ドルを共同投資

この記事の要約

ロシア政府系のロシア直接投資基金(RDIF)とトルコの建設大手ルネッサンス・ホールディングが提携を強化する。医療プロジェクトなどに最大4億米ドル(3億6,780万ユーロ)を共同で投資する。投資比率は1対1。9日に調印され […]

ロシア政府系のロシア直接投資基金(RDIF)とトルコの建設大手ルネッサンス・ホールディングが提携を強化する。医療プロジェクトなどに最大4億米ドル(3億6,780万ユーロ)を共同で投資する。投資比率は1対1。

9日に調印された契約によると、医療、建設、インフラ、商業不動産分野に優先して投資する予定だ。

今回の契約は、トルコ・エルドアン大統領のロシア公式訪問を機に結ばれた。昨年11月のロシア軍機撃墜事件を機に冷却化した両国関係の修復を目指すもので、エルドアン大統領は今後、ロシアによる制裁措置が解除されることを期待している。

この背景には、(1)重要産業である観光業をはじめ、トルコ経済が不振(2)先月のクーデター未遂事件以来、欧州連合(EU)との関係が悪化――といった事情がある。(1)は治安悪化に加え、ロシア政府が制裁措置として◇トルコ行きチャーター便運航禁止◇トルコツアーの(事実上)販売禁止――を発令したことで、外国人客として2番目に多かったロシア人観光客がほぼゼロになったことが大きく響いた。

(2)では、トルコ政府がクーデターの黒幕とみるギュレン氏を支持しているとして公務員など数万人を逮捕したことなどを理由に、EUが政府を強く批判。加盟国の一部からEU加盟交渉の中止を求める声も出ている。このため、ロシアとの関係を正常化することは、エルドアン大統領にとって大きな政治的意義がある。

一方、ロシア・プーチン大統領にとっては、エネルギー政策上、トルコは重要なパートナーだ。関係冷却化で遅延しているトルコ・ストリーム(ターキッシュ・ストリーム)、アックユ原発建設プロジェクトの再始動につながる利点がある。