廃家電の無料引き取りを家電販売店に義務づけた新ルールは順守されていない――。環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)が独自調査をもとに明らかにしたもので、販売店に改善を促している。
ドイツでは改正廃家電法(電気・電子機器法=ElektroG=)に基づき廃家電の無料引き取りが7月24日付で家電販売店に義務づけられた。売り場ないし倉庫、出荷エリアの面積が400平方メートル以上の家電販売店とネット販売事業者は廃家電を無料で引き取らなければならない。製品の一辺の長さが25センチメートル以下の廃家電であれば、消費者が新製品を購入しなくてもこれらの事業者には無料で引き取る義務がある。
同法は昨年10月24日付で施行されたが、販売事業者が引き取り体制を整えるための準備期間として10カ月の猶予期間が設けられていた。
DUHは同ルールの順守状況を調べるため猶予期間の終了後、家電量販店、ホームセンター、ネット販売事業者など45社を対象に覆面調査を実施した。結果は全社が不合格。引取義務の顧客に存在を知らせないほか、◇引取料金を請求する◇長時間待たせる――などのケースが確認された。なかには回収を拒否した店舗もあった。
特にデパート大手のカウフホーフはすべての評価項目で不合格となり、家具販売店イケアもほとんどの項目が不合格だった。イケアはメディアの問い合わせに対し、新ルールの導入当初に個々の店舗で問題が発生することがあり得ると回答。カウフホーフは「引取義務はすべて順守している」として、DUHの評価に問題があるとの認識を示した。
DUHは無料引き取り義務の対象となる事業者を売り場・倉庫・出荷エリア面積が400平方メートル以上の事業者に制限するルールを大きな問題の1つと指摘する。実店舗およびネット事業者の売り場や倉庫の面積を顧客が調べることは実質的に不可能であることを逆手にとって、「面積400平方メートル未満」を理由に引き取りを拒否するケースが目立つためだ。