スイスのUBSやドイツ銀行など世界の大手金融機関5社は24日、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨の導入に向けて協力すると発表した。有価証券の決済を大幅に迅速・低コスト化することが狙い。各国・地域の中央銀行や規制当局と協議して承認を得、2018年春に導入したい考えだ。
仮想通貨の導入で協力するのはUBS、ドイツ銀、スペイン銀のサンタンデール、米銀バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、インターディーラーブローカーICAPの5社。UBSが開発してきた仮想通貨「USC(Utility Settlement Coin)」をまずは実際の環境で使ってテストする。
有価証券の決済手続きには現在、種類によって1~3日の時間を要する。また、清算・決済に伴い金融機関が負担するコストは世界全体で年650億~800億ドルに達することから、業界の大きな負担となっている。
ブラックチェーン技術に裏付けられた仮想通貨を用いると、こうした手間と費用を大幅に圧縮できる。このため、世界の大手銀行は独自の仮想通貨開発に取り組んでいる。共同開発に切り替えれば開発コストと時間を圧縮できることから、5社は今回の提携に踏み切った。
仮想通貨ではビットコインが有名だが、詐欺が起こるなど問題がある。5社はそうした事態が起こらないようにするため、各取引の際に現金を中銀に供託する方式を採用する考えだ。