ロシアのウリュカエフ経済相は3日、中堅石油企業バシネフチの部分民営化を早期に実施する方針を明らかにした。8月中旬に国内経済・政治への影響を理由として計画を凍結してから、わずか2カ月足らずで決定を撤回した格好で、背景に財政のひっ迫があるとみられている。政府は今月中にも保有株50%を一括して売却する姿勢だ。
もともと、バシネフチの民営化は、同国の民間石油大手ルクオイルが最高35億米ドルで買収する方向で準備が進められていた。しかし、石油の世界最大手を目指す国営ロスネフチのセチン社長が50億ドルの買収案を提示。関係閣僚などへの圧力を強めたことから、政府は混乱を防ぐため、いったん計画を凍結していた。
本来、ロシア法ではロスネフチのような国営企業による民営化への参加が禁じられている。このため、政府内でもロスネフチとの取引に反対する声が強い。
政府はまた、バシネフチの部分民営化後にロスネフチ株19.5%を売却する方針も明らかにした。売却益として110億ドル以上の収入を見込んでいる。