ドイツのヨハンナ・ヴァンカ教育・研究相は12日、教育のデジタル化戦略を発表した。モノのインターネット(IoT)など社会・労働環境が今後、急速に変化していくことを踏まえ、それに見合った教育環境を整える考えだ。
「デジタルパクト#D」という名の協定を国内16州の政府との間で締結し、今後5年間で州に総額50億ユーロを提供。全国のすべての学校にブロードバンド接続、無線LAN、IT機器を標準装備していく。国はその見返りとして州に対し、デジタル環境を活用した授業を実施できるよう◇教員の研修・再教育を行う◇教育方法を練り上げる――を義務づける。
州教育相の協議機関である文化相会議(KMK)はヴァンカ教育・研究相の提言を前向きに検討する方向。ハイテク業界団体Bitkomも「アナログな黒板の時代がようやく終わりを迎える」と歓迎の意を示した。
Bitkomの教員アンケート調査では、「デジタルメディアを利用した授業を行いたいが、パソコンなどの機器が足らず実行できない」との回答が48%に達した。このため、すべての学校にIT機器が装備されれば、そうした授業は急速に増えるとみられる。
ただ、同提言はドイツ政府の承認を得ておらず、実現するためには他の閣僚の同意を取り付ける必要がある。予算総額が50億ユーロと大きいことから、ヴォルフガング・ショイブレ財務相との今後の交渉が実現のカギを握りそうだ。