BMW開発担当取締役、「幅広い駆動技術で顧客ニーズや規制に対応」

独高級車大手BMWのクラウス・フレーリッヒ開発担当取締役は10月にドイツのアーヘンで開催された自動車およびエンジン技術に関する専門家会議「アーヘン・コロキウム」で、顧客や規制など全ての重要な要求を満たすためには様々な駆動システムを幅広く提供することが求められる、との見解を示した。1つの技術であらゆる要求を満たすようないわゆる「one fits all」ソリューションはなく、今後何年にも渡り様々な駆動技術を活用するアプローチが続くと予想している、とコメントした。

同取締役は内燃エンジンについては、「中期的に重要性が下がってくるが、今後まだ長い期間において必要な技術であり、追加投資によりさらに潜在性を開拓できる。ただ、二酸化炭素(CO2)やその他のエミッションに関する将来の規制を満たすためには、広範囲に渡る進化が求められる。このような状況において48ボルトのエネルギー回生システムは重要性が増してくるだろう」との見解を示した。

■ 電気自動車、「まだオールラウンドの技術ではない」

電気駆動車に関しては、純粋な電気自動車(BEV)は、今後数年はまだすべての顧客や車両クラスに対応したオールラウンドのソリューションにはなりえないと述べ、1日あたりの走行距離が100キロメートルまでの顧客が小~中型車でエミッションフリーの電気駆動運転を楽しむのに適しており、BMWは航続距離を実際の走行で200km以上に伸ばした「i3」を提供している、とコメントした。中距離の走行や中型車を求める顧客にはBMWグループはプラグインハイブリッド車(PHEV)で対応していくとした。

同取締役はこのほか、電気自動車の需要が地域によって異なる点にも言及し、米国や一部の欧州諸国ではドイツに比べ電気自動車の需要が急速に伸びている、とコメント。中国では、電気自動車の潜在需要が大きいが、実際の需要は地域によって大きく異なる、と説明した。

■ 燃料電池車、普及に時間がかる見通し

同取締役は燃料電池車(FCEV)については、長距離や(高速道路など)高い走行抵抗のある運転では、FCEVが日常での実用的な使用におけるゼロエミッション走行に適しているが、水素の製造や水素を供給するためのインフラが不十分な状況にある、と指摘する。このような状況の改善に向けて業界を超えた協力によりインフラ整備を加速しており、今後10年かけて燃料電池技術は量産化や普及が進んでいくだろうとの見通しを示した。

BMWによる燃料電池車の市場投入については、2020年代初めに小規模販売する見通しを示した。ただ、2025年までは依然としてコストが高く、水素供給インフラも本格的な市場参入ができるまでに至っていないだろうとの見通しを示した。フレーリッヒ取締役はそのような状況に言及したうえで、BMWグループは基盤が整うまでに市場に売り出せる状態の顧客を惹きつけるFCEVを供給できるようにするだろう、とコメントした。

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