欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、EUと南部アフリカ5カ国との経済連携協定(EPA)が同日付で発効したと発表した。EUは武器を除く全品目で関税を撤廃し、EPAを通じて南部アフリカ諸国の経済成長と地域統合を支援する。
EUとEPAを締結したのは南部アフリカ開発共同体(SADC)を構成する15カ国のうち、ボツワナ、レソト、ナミビア、スワジランド、南アフリカ共和国。EUはSADCとの地域間協定締結を目指して10年前に交渉を開始し、今年6月に5カ国とのEPAに調印した。なお、南アとは自由貿易協定(FTA)を含む通商・開発・協力協定(TDCA)を締結していたが、EPA発効を機に解消する。また、モザンビークでは現在、EPAの批准手続きが進められており、国内手続きが完了した時点で締結国に加わる。
EPA発効に伴い、南アを除く4カ国は武器・軍需品を除くすべての品目を、数量制限なしに無関税でEU市場に輸出できるようになる。南アについては98.7%の貿易品目の関税が撤廃される。一方、アフリカ側はEU製品に対して段階的に市場開放を進めると共に、持続可能な開発への取り組みを強化する。
EPA締結国にとってEUは最大の貿易相手で、2015年の貿易額は約630億ユーロ(モザンビークとオブザーバーとして協定に参加するアンゴラを含む)。このうちアフリカ側からEU市場への輸出は、鉱物資源や金属などを中心に約320億ドルとなっている。
