スコットランド自治政府、独立問う住民投票の関連法案公表

スコットランド自治政府のスタージョン首相は20日、英国からの独立を問う住民投票の再実施に関する法案を公表した。EUとの離脱交渉で、スコットランド経済に打撃を与える“ハード・ブレグジット(強硬離脱)”も辞さない構えで臨む方針を掲げる英政府に揺さぶりをかける狙いがあると目される。

同法案は独立を問う住民投票の実施をスコットランド議会が審議する際のたたき台となるもので、投票実施日など詳細は盛り込まれていない。

2014年の住民投票では、僅差で英からの独立が否決された。一方、英国で6月に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票では、スコットランドでは離脱反対派が多数を占めた。

英政府はEU単一市場へのアクセス維持よりも移民制限を優先する方針を掲げており、スコットランドが恐れるハード・ブレグジットが現実味を帯びている。スタージョン首相は13日、英国がスコットランドの意に反してEU離脱を決め、しかも強行離脱の可能性が強まっていることで、前回の住民投票が行われた当時と状況が変わったため、住民投票を再実施する権利があるとして、関連法案を近日中に公表する意向を表明していた。

独立の是非を問う住民投票の実施には英政府の承認が必要で、実現する可能性は極めて低い。それでも自治政府が法案を公表したのは、英政府に圧力をかけ、離脱の軟着陸に向けた妥協を迫る意図があると見られる。

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