VW排ガス不正の和解案を米裁判所が承認

米サンフランシスコ連邦地方裁判所は10月25日、独フォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車排ガス不正問題で同社が米国の車両所有者および当局と締結した和解案を承認した。これによりVWが総額147億ドルを支払うことが確定した。

VWは6月、違法なソフトウエアをインストールした2リットルTDIエンジン搭載のディーゼル車を保有する米国の顧客、および当局と和解。裁判所は和解内容を審査していた。

和解の対象となるのは2009年から15年にかけて生産されたVWとアウディの車両およそ47万5,000台。VWは顧客に対し1台当たり5,100~1万ドルの補償金を支払うほか、顧客に対し(1)車両を修理して米環境基準を順守できるようにする(2)車両を買い取る――のどちらかを選択することを提案する。

VWが米当局と締結した和解合意は、◇VWグループの車が規制値を大幅に上回る窒素酸化物(NOx)を長年、排出してきたことへの補償として環境保護基金に27億ドルを払い込む◇ゼロエミッション車の利用促進に20億ドルを投じる◇米国の計44州に6億300万ドルを支払う――というもの。

違法ソフトを搭載する3リットルTDIエンジンのディーゼル車、計8万5,000台をめぐる問題では和解合意が成立していない。また、VWに対しては米法務省が犯罪捜査を進めており、同社はこれに絡んでも巨額の制裁金を科されるとみられている。

欧州では不正車両の総数が850万台に上るものの、同社は環境規制が米国と異なることを理由に補償金を支払わない意向を示している。ただ、欧州連合(EU)欧州委員会のエルジビエタ・ビェンコフスカ委員(域内市場・産業・起業・中小企業担当)はこれを不公平だと批判し欧州でも支払うよう要求。VWへの圧力を強めている。

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