有期雇用契約の期間と更新回数、最高裁が許容上限を提示

雇用主は理由を提示せずに合計で最大2年間、被用者を有期雇用できる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に記されたルールであり、雇用主は同期間内に契約を最大3回更新できる。ただ同項第3文には、労使がこのルールから逸脱した協定を定めることが認められている。この第3文をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10月26日の判決(訴訟番号:7 AZR 272/13)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はエネルギー企業に有期社員として雇用されていた社員が同社を相手取って起こしたもの。エネルギー業界ではTzBfG14条2項第3文の規定に基づき◇雇用主は理由を提示せずに合計で最大5年間、被用者を雇用できる◇雇用主は同期間内に契約を最大5回更新できる――という労使協定を取り決めている。

原告は2012年1月15日から14年3月末までの2年2カ月半、有期社員として被告企業で勤務していた。この間、雇用契約は一度、更新された。14年3月末以降は契約更新がなかったことから、原告は労使協定の上記ルールを無効として提訴。雇用期間が理由の提示なしに2年を超えたとして、TzBfG14条2項第1文の規定を根拠に正社員として採用を要求した。

原告は1審と2審で敗訴し、最高裁のBAGでも訴えを退けられた。判決理由でBAGの裁判官は、TzBfG14条2項第3文の規定には憲法と欧州連合(EU)法から制限がかかり、有期契約を理由の提示なしに延々と更新することはできないとしながらも、契約期間と契約更新回数はTzBfG14条2項第1文の規定の最大3倍まで許容されるとの判断を示した。契約期間を最大6年、更新回数を最大9回まで認めるもので、エネルギー業界の労使協定は抵触しないことになる。

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