グーグルが欧州委に反論、競争法違反問題で

米グーグルの比較ショッピングサービスやインターネット広告事業がEU競争法に違反した疑いがあるとして、欧州委員会が警告している問題で、グーグルは3日、欧州委の見解に反論する文書を提出したことを明らかにした。グーグルが市場支配的地位を乱用し、競争を阻害したとの指摘に対し、「競争は十分に確保されており、他社への影響はない」と主張している。

欧州委は昨年4月、グーグルが検索結果ページで自社の商品価格比較サイト「グーグルショッピング」を優先的に表示する一方、競合サービスの表示位置を下げるなどして消費者の選択を狭めているとの見解をまとめ、同社に異議告知書を送付した。グーグルは8月にこれに対する反論を提出。欧州委は今年7月、競争法違反の見解を裏付ける追加的な証拠やデータを盛り込んだ「補足異議告知書」を送付していた。

一方、インターネット広告事業では検索連動型広告が問題になっている。欧州委は7月、グーグルは同社の広告配信サービスを利用する第3者のサイトに対し、グーグルと競合するサービスが配信する広告の掲載を禁止する一方、グーグルが配信する広告を最も目立つスペースに掲載するよう義務づけており、こうした行為はEU競争法が禁止する市場支配的地位の乱用にあたるとして、異議告知書を送付した。

欧州委はさらに、携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」に関しても公正な競争を阻害しているとの疑いを強め、4月に意義告知書を送付しているが、グーグルは今回、比較ショッピングサービスとネット広告事業について反論した。グーグルのケント・ウォーカー上級副社長兼法務顧問は、ライバルの米アマゾン・ドット・コムなどを引き合いに出し、ネット通販市場には「ダイナミックな競争原理」が働いており、グーグルの商慣行が公正な競争を阻害しているとの欧州委の見解には「根拠がない」と反論。ネット広告事業に関しても、第3者のサイトとの契約に盛り込んでいた競争制限的な条項はすでに削除しており、競合する価格比較サイトに悪影響を与えているという事実はないと主張している。

なお、アンドロイドをめぐる異議告知書については今月11日が回答期限となっており、グーグルはこれについても近く反論書を提出する意向を示している。最終的に競争法違反と認定された場合、グーグルは1つの案件につき最大で74億ドル規模の制裁金を科される可能性がある。

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