ギリシャのチプラス首相は4日、内閣改造を実施した。EUなどと合意した財政改革を円滑に進め、金融支援をめぐる交渉で債務削減の要求を通しやすくするため、債権団の求める公営事業の民営化に反対する閣僚の担当を代えたほか、行政再建相などのポストを新設した。緊縮策による生活の困窮に対して国民の不満が高まるなか、内閣改造で政権の求心力を高める狙いもあるとみられる。
新体制ではスクルレティス・エネルギー相が内相、スタサキス経済・開発相がエネルギー相に就き、クルブリス内相は海運政策相を務める。スクルレティス氏は債権団が求めている主要電力会社の政府保有株の売却に反対しており、債務交渉の障壁と目されていた。
経済・開発相にはエコノミストで米シンクタンク、レビー経済研究所の所長ディミトリス・パパディミトリウ氏が起用された。このほか新設のデジタル政策相はパパス首相府相、行政再建相はイエロバシリ報道官が務める。ツァカロトス財務相、コジアス外相、カメノス国防相など主要閣僚は留任した。
反緊縮を公約に掲げて昨年1月に発足したチプラス政権は、その後公約を撤回してEUからの金融支援を引き出したが、出口の見えない緊縮策や年金改革に国民の不満が噴出。最新の世論調査ではチプラス氏率いる急進左派連合(シリザ)の支持率は18%で、野党新民主主義党の42%を大きく下回るなど、厳しい政局運営を迫られている。