鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップが24日発表した2016年9月通期決算の営業利益(EBIT、調整済み)は14億6,900万ユーロとなり、前期比で12%減少した。コストを大幅に削減したものの、鉄鋼価格の低迷が直撃。株主帰属の純利益も4%減って2億9,600万ユーロとなった。売上高は8%減の392億6,300万ユーロ、新規受注高は9%減の374億2,400万ユーロだった。
9月末時点の自己資本は26億900万ユーロで、前期末に比べ21%減少した。低金利を受けて企業年金引当金を積み増したことが響いた格好。9月末時点の純債務が3%増えて35億ユーロとなったことから、ギアリング比率(自己資本に対する他人資本の比率)は15月9月末の103.2%から134.2%へと大きく上昇した。同150%を超えると、取引先銀行から融資枠契約を即時解除される恐れがあり、財務に黄信号が灯りだした格好だ。同社のギアリング比率は経営危機に陥った2013年に185.7%まで上昇した経緯がある。
17年9月期はEBIT(調整済み)で約17億ユーロを目指す。そのうち8億5,000万ユーロをコスト削減でねん出する考えだ。