VW、経営戦略「トランスフォーム2025プラス」発表

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループのヘルベルト・ディース取締役(VWブランド担当)は22日、今後10年およびそれ以降を見据えた経営戦略「トランスフォーム2025プラス(TRANSFORM 2025+)」を発表した。VWブランドの市場地位強化や利益率改善、エレクトロモビリティ(電気駆動車)とコネクティビティ(接続性)への注力、チームの意識改革などを柱とする。

今回発表した戦略は、3段階に分けて実施する。第1フェーズでは、2020年までに中核事業の立て直しを図り、バリュー・ストリーム全般(生産、物流、サービスなどVWの活動全般)を根本から見直す。第2フェーズは2025年までを対象とし、エレクトロモビリティで主導的な地位を目指す。第3フェーズでは、2030年までに新しいモビリティの世界で主導的な役割を担うことを目標とする。

同戦略では大幅な収益改善を目指しており、売上高営業利益率を2015年の約2%から、2020年までに4%に改善し、2025年までには6%に引き上げる目標を掲げている。

■ SUV、エレクトロモビリティに注力

製品面では、量産車セグメントで高級車に近い地位「トップ・オブ・ボリューム」を目指す方針。まずはSUV車を強化し、第2弾とし電気駆動化に注力する。

エレクトロモビリティについては、2020年から積極的に戦略を本格化する計画であり、2025年までに年100万台のエレクトロモビリティの販売を目指す。エレクトロモビリティ事業に投入する財源は、需要や利益率の低い従来モデルや派生モデルの生産中止により確保する計画であり、25億ユーロ以上の予算を予定している。

■ モビリティサービス、25年までに年約10億ユーロの規模に

VWは車両のネットワーク化によるモビリティサービスにも重点を置いている。独自のデジタルプラットフォームを開発する計画であり、2025年までに同プラットフォームの世界のユーザー数で8,000万人を見込んでいる。また、車両のネットワーク化に関連したサービスの売上高では、2025年までに年約10億ユーロの規模を見込んでいる。

■ 北米・中国を重視、「エコノミーセグメント」にも参入

地域では、北米市場での市場地位と利益率を大幅に改善する。米国で主力市場の大型SUVとセダンのラインアップを大幅に強化し、次に、新しいエレクトロモビリティモデルを北米市場に投入する。2021以降には、エレクトロモビリティに特化したプラットフォーム(MEB)をベースとしたモデルを現地生産する予定。

中国では、すでに確立した「トップ・オブ・ボリューム」の市場地位をさらに強固にするため、SUVとエレクトロモビリティに注力する。

さらに、中国、インド、南米、ロシアなど今後の経済成長が見込める大きな市場で大きな需要拡大が期待される「エコノミーセグメント」に参入する計画で、すでに同セグメント向けのモデルの開発に着手しているという。

■ 透明性の高いフラットな組織へ

組織面では、機敏さ、起業家精神、オープンに議論する文化、よりフラットな階級組織、柔軟性の高い労働・勤務体制などを目指している。

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