電子商取引のジオブロッキング、加盟国が禁止法案で合意

EU加盟国は11月28日に開いた競争政策担当相理事会で、電子商取引で事業者が「ジオブロッキング(地理的制限)」を設け、消費者の居住地などによってサービスを制限したり、同じ商品を不当に高い値段で販売するといった差別的行為を禁止する法案の内容で合意した。欧州議会で近く採決を行い、その後、閣僚理事会、欧州議会、欧州委員会の3者間で正式承認に向けた交渉に入る。

欧州委は6月、域内におけるデジタル単一市場の実現を目指す取り組みの一環として、不当なジオブロッキングの禁止を柱とする電子商取引の新たな規制案を発表した。EU市民が域内のどこにいても同じ条件でネット通販を利用できるようにし、国境を越えたオンライン取引を促すのが狙いだ。

規制案によると、EU内で事業展開するオンライン小売業者などが地理的制限を設けて国外の消費者がサービスを利用できないようにしたり、居住する国のサイトに誘導して同じ商品を高い値段で販売するといった「差別的扱い」が禁止される。購入者の居住地や国籍などにより、支払い方法や条件面で不当に差別することも禁止される。

一部でみられる国境をまたいだオンライン取引を制限する商慣行を排除するのが狙いで、米アマゾン・ドット・コムをはじめとするネット通販や米イーベイなどのインターネットオークション、米ネットフリックスなどの動画配信サービスのほか、レンタカー、宿泊、各種チケットのオンライン予約など幅広いサービスが規制の対象となる。

ただし、小売業者が納入業者と結んだ契約に、消費者からの「自発的要求(unsolicited requests)」を受けた「受動的販売(passive sales)」を制限する条項が盛り込まれている場合などは、ジオブロッキングの設定が容認される。

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