EU加盟国と欧州議会は14日、主としてデジタルテレビ放送に使用されている700MHz帯を2020年までに開放し、モバイルブロードバンド用に割り当てることを柱とする周波数再編計画で基本合意した。20年の実用化を目指す第5世代(5G)移動通信サービスで欧州が主導権を握るため、EU全体で効率的に周波数管理を進める。閣僚理事会と欧州議会の正式な承認を経て実施に移す。
欧州議会との交渉にあたったEU議長国スロバキアのエールシェク交通・建設・地域開発相は声明で、「周波数は戦略的に活用されなければならない重要な資源だ。700MHz帯の周波数再編によって規制面の不確実性が取り除かれ、5G移動通信サービスの早期実現に向けた道が開かれる」と強調。米国やアジア勢に遅れをとった4G移動通信サービスの普及を促進すると共に、遠隔医療や自動運転車、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)の基盤となる5Gネットワークの実用化に向けた取り組みを加速させることができると説明している。
再編計画によると、470~790MHzのUHF帯のうち、加盟国は20年6月末までに700MHz帯(694~790MHz)をモバイルブロードバンド用に開放しなければならない。ただし、隣接する非EU加盟国との間で周波数管理をめぐる調整が付かなかったり、現在700MHz帯を使用しているテレビ放送の周波数移行が難航した場合などを想定して、最大2年の猶予期間が設けられた。
一方、470~694MHzの周波数帯に関しては、各国の状況に応じて少なくとも30年まで視聴覚サービス(デジタルテレビ放送、コンサートホールやスポーツイベントで使用されるワイヤレスマイクなど)への割当が優先される。