EU加盟国、排ガス試験厳格化で合意

欧州連合(EU)加盟国は12月20日に開いた自動車技術委員会で、域内で販売する自動車の排ガス試験を厳格化し、ガソリン車が排出する超微粒子を路上走行試験の対象に加えることで合意した。独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題を受けた規制強化策の一環で、各メーカーは粒子状物質(PM)除去フィルターを搭載するなどして路上試験の厳格化に対応する必要がある。

EUでは2010年頃から試験場で行われる排ガス試験の検査手法を見直す動きが出ていたが、自動車業界の反発を背景に路上試験の導入が遅れていた。しかし、VWによる不正の発覚を機にようやく加盟国の足並みが揃い、17年9月からの導入が決まった。第1弾として、加盟国の規制当局から型式認証を受ける新型車に新規制を適用し、2年後には域内で販売されるすべての新車に対象を拡大する。

自動車技術委で新たに決まった規制強化策によると、次世代ガソリン直噴(GDI)車が排出する有害な超微粒子が新たに路上走行試験の対象となる。今年9月から型式認証を受ける新型車に新ルールが適用され、18年9月以降はすべての新車が対象となる。

一方、欧州議会がまとめたVWによる排ガス試験不正問題に関する調査報告によると、イタリア、フランス、スペインを含む一部の加盟国では排ガス試験の厳格化への対応が遅れており、大気汚染が進んでいることが明らかになった。ロイター通信が12月19日、独自に入手した欧州議会の報告書案をもとに報じた。

報告書案は試験場で行われる従来の排ガス試験を見直す必要性が広く認識されながら、路上走行試験の導入が遅れた原因について、試験の厳格化に反発する業界団体や加盟国からの圧力を受け、EU首脳陣が自動車産業を保護しようとしたことが背景にあったと分析。報告書案をまとめたオランダ選出のゲルブランディ議員は「各国政府や欧州委員会が迅速に行動していれば、VWの不正問題が起きることはなかった」と指摘した。

報告書案は欧州議会本会議の承認を経て、近く公表される見通しだ。

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