大手格付け会社の米フィッチ・レーティングスは1月27日、トルコの長期信用格付けを投資適格級の「BBBマイナス」から不適格級の「BBプラス」へ引き下げた。これにより、トルコ国債の格付けは大手3社の全てで「投資不適格」となり、同国の借り入れコストのさらなる上昇が見込まれる。
フィッチは見通しを「安定的」とし、近い将来の格下げを否定した。一方で、スタンダード&プアーズ(S&P)は同日、見通しを「安定的」から「弱含み」へ変更し、格下げの可能性を示した。
フィッチは今回の見直しの理由として(1)政治的不安(2)治安の悪化――を挙げた。(1)については、昨夏のクーデター未遂事件直後に敷かれた非常事態令がいまだに解かれず、公務員などが大量解職されている事実を確認。来月の国民投票で大統領の権限強化に向けた改憲案が可決されれば、政府に対するコントロール機能が失われる恐れがあると指摘する。(2)では多発するテロ事件が消費縮小、観光客減少につながり、経済にブレーキがかかる懸念に言及する。
格付け大手は共通して、トルコ経済の懸念材料として◇景気減速◇投資環境の悪化◇外貨流出◇国際収支の悪化◇政府の中銀金利政策への影響力――などをあげてきたが、トルコ通貨リラの下落が不安に拍車をかけている。
S&Pは以前からトルコ国債を「投資不適格級」に位置付けてきたが、クーデター未遂事件直後にさらにランクを引き下げた。ムーディーズも9月、「投資不適格級」へ引き下げ、3大格付け会社の中ではフィッチが唯一「投資適格級」としていた。