スイス製薬大手のノバルティス(バーゼル)は1月25日の決算発表で、業績不振の眼科部門アルコンについてあらゆる選択肢を検討すると発表した。他社への売却、新規株式公開(IPO)を視野にいれている。ジョセフ・ジメネス最高経営責任者(CEO)は年末までに結論を出す考えを明らかにした。手元に残す可能性もあるとしている。
ノバルティスは2008年から15年にかけて、食品大手のネスレからアルコンを段階的に買収した。買収には総額510億ドルを投じた。
アルコンは近年、業績が悪化しており、ノバルティスは昨年1月、眼科薬事業を特許薬と後発医薬品部門にそれぞれ移管し、アルコンの経営資源を眼内レンズとコンタクトレンズに集約する意向を表明した。アルコンを放出すると、ノバルティスは純粋な医薬品メーカーとなる。
2016年12月期決算の営業利益(継続事業ベース)は前期比8%減の82億6,800万ドルへと落ち込んだ。為替差損のほか、主力の白血病治療薬である「グリベック」の特許が米国で失効したことが響いた。売上高(同)は2%減の485億1,800万ドルで、売上高営業利益率は前期の18.2%から17.0%へと下落した。純利益(同)は5%減の66億9,800万ドルだった。
17年12月期はグリベックの特許が欧州でも切れることから、業績が伸び悩む見通し。18年12月からは新製品の効果で好転するとみている。