電機大手の独シーメンスは6日、3Dプリンターで製造したガスタービン翼の実用試験に初めて成功したと発表した。ガスタービン翼は高温など過酷な環境にさらされる部品で、強い耐久性が要求される。同社のパワー&ガス部門のヴィリー・マイクスナー最高経営責任者(CEO)は、3Dプリンター技術にとって発電は最も難しい投入分野の1つだと指摘。今回の試験の成功は「画期的だ」と強調した。
試験は英東部のリンカンにあるシーメンス産業ガスタービン試験センターで実施された。試験で利用したのは出力13メガワット(MW)の産業用ガスタービン「SGT-400」。投入された3Dプリンター製ガスタービン翼は摂氏1,250度の高温や1分当たり1万3,000回の高速回転にさらされた。摂氏400度の空気による冷却も行われた。
同ガスタービン翼を製造したのはシーメンスが昨年買収した3Dプリント出力サービスの英マテリアルズ・ソリューションズ。同子会社は選択的レーザー溶融システム(SLM)という積層造形技術を用いて金属製の高性能部品を受託製造しており、特に高い耐熱性が求められるガスタービン部品の分野で定評がある。
シーメンスは3Dプリンター技術の投入により、製品開発のスピードを大幅に引き上げる考えだ。交換部品のオンデマンド生産で利用することも視野に入れている。