コンテンツサービスのポータビリティ規則、欧州議会と加盟国が合意

欧州議会とEU加盟国は7日、EU市民が域内のどこにいても加入しているコンテンツ配信サービスを利用できるようにするための法案の内容で合意した。旅行や商用などで域内の他の国に短期滞在する際、自国にいる時と同じ条件で映画やテレビ、音楽、ゲーム、電子書籍などのデジタルコンテンツにアクセスできるようになる。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て、2018年1月の新ルール導入が見込まれる。

欧州委員会はデジタル単一市場の創設に向けた取り組みの一環として、2015年12月に「コンテンツサービスのポータビリティに関する規則(案)」をまとめた。米ネットフリックスやアマゾン・プライムなどの動画配信サービスや、スウェーデンのスポッティファイなどが展開するデジタル音楽配信サービス、英衛星放送大手スカイのスポーツ専門ストリーミングサービスなど、定額制のコンテンツ配信サービスを対象に、加入者が域内のどこにいても自国と同じ条件でサービスを利用できるようにするという内容。ただし、公共テレビや公共ラジオが提供している番組配信サービスなど、無料で提供されているサービスは規制対象外となる。

現在はある動画配信サービスの加入者が旅行先でサービスを利用しようとすると、「対象エリア外」といったメッセージが表示されてまったくコンテンツにアクセスできなかったり、その国の加入者向けに提供しているコンテンツしか視聴できないケースがある。これはコンテンツ提供者が特定の地域以外での配信を許可していない場合、ユーザーとサービス提供者の地理的関係によってオンラインサービスへのアクセスが制限される「ジオ・ブロッキング」によるもの。新規則の導入により、域内の他の国での一時的な滞在については地理的制限が禁止される。

欧州委によると、EU市民の64%が動画や音楽などのオンライン配信サービスを利用しており、特に携帯端末からのアクセスが急速に広がっている。EUでは域内の他の国で携帯電話を使用する際に発生する国際ローミング料が6月15日付で廃止されることが決まっており、国境を越えたコンテンツ流通を妨げる障壁の1つが取り除かれることになる。

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