欧州委がデジタル化進捗レポート公表、北欧勢と南・東欧勢の格差縮まらず

欧州委員会は3日、EU加盟国におけるデジタル化の進捗状況を評価した年次報告書「2017年版デジタル経済・社会指数(Digital Economy and Society Index=DESI)」を公表した。それによると、5項目から成る総合評価はEU全体で16年の水準を3ポイント上回ったものの、最もデジタル化が進んでいる上位3分の1(9カ国)と、進捗が遅れている下位3分の1(同)の格差は前年の36ポイントから37ポイントに拡大しており、依然として国によるばらつきが大きいことが確認された。

DESIを構成する各項目は、ブロードバンドインフラの整備状況を表す「接続性」、デジタル社会のメリットを生かすために必要なスキルの浸透度を表す「人的資本/デジタルスキル」、一般市民によるインターネットの利用状況を細かく分析した「市民のインターネット利用」、企業によるICTの活用状況を示す「デジタル技術の統合」、公共部門におけるデジタル化の進捗を表す「デジタル公共サービス」の5つ。このうち接続性と人的資本は全体のそれぞれ25%、デジタル技術の統合は20%、市民のネット利用とデジタル公共サービスは各15%となるよう加重平均され、総合評価のポイント(最高=1.00)が算出される。

総合ランキングは昨年に続いてデンマークがトップに立ち、次いでフィンランド、スウェーデン、オランダと北欧勢が上位を占めている。これに対し、総合評価が最も低いのはルーマニアで、以下、ブルガリア、ギリシャ、イタリア、クロアチアと南・東欧諸国がこれに続いている。

項目別にみると、域内の76%の世帯で高速ブロードバンド接続(30Mbps以上)が可能で、EU市民の84%がモバイル通信サービスに加入している。一方、EU市民の79%が少なくとも週1回はインターネットを利用しており、ネットユーザーの78%が音楽や映画、ゲームなどをダウンロードしている。また、ネットユーザーの66%がオンラインで買い物をしており、インターネットバンキングも59%が利用している。このほか、ネットユーザーの34%が公的機関に提出する書類をオンラインで処理した経験を持つことも分かった。

一方、インターネットトラフィックは年20%、モバイルデータトラフィックは年40%超のペースで拡大している。欧州委はデジタル単一市場の実現に向けて増え続けるデータトラフィックに対応するため、EU全域でインフラ投資を促進して高速ブロードバンド網の整備を進める必要があると指摘している。

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