ガスプロム、低価格で欧州シェア維持へ

ロシア国営ガス会社ガスプロムのアクシューチン取締役は2月28日、今後数年間は欧州向け天然ガスの供給価格を低く抑えていく方針を明らかにした。欧州連合(EU)による調達先多様化の動きを踏まえ、低価格を魅力にシェアの確保を図る。

同取締役はシンガポールで開いた説明会で、2025年まで欧州市場におけるシェアを昨年水準の34%で維持、あるいは35%へ微増することが可能との見方を示した。豪州・米国産の液化天然ガス(LNG)は「ガスプロムの欧州向け価格よりも3割以上高い」として、自社の価格競争力に自信をみせた。

また、中国との取引についてメドベージェフ副社長は、「追加契約に向けた交渉は同国の景気動向やガス産業の改革で遅れ気味」としながらも、新たな契約に積極的な姿勢を確認した。アジア向けパイプライン輸出は2019年以降、開始する予定だ。

ガスプロムは膨大な保有埋蔵量とシベリア鉱区の生産費の安さを武器に、価格を低く抑えられる立場にある。同社の欧州向け価格は2016年に千立方メートル当たり167米ドルまで下がったが、今年は180~190ドルに回復すると見込まれている。

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