自動車業界が人工知能(AI)の利用に向けて力を入れている。なかでも自分で学ぶ「ディープラーニング」システムが注目の的だ。自動車部品大手のコンチネンタルでは同システムを利用した自動運転技術の開発に取り組んでいる。
コンチネンタルの人工知能・ロボティクス研究所が開発中のシステムは、一つ一つプログラミングしなくても、数百万枚の画像を「見る」ことで歩行者やさまざまな乗り物に乗る人などを区別して認識するものだ。仮に新しい乗り物が道路を走るようになってもプログラムする必要がない。
人工知能・ロボティクス研究所のデメトリオ・アイエロス所長によると、システムの画像認識精度はここ数年で飛躍的に向上している。認識率は2010年の72%から15年には97.1%に上昇し、人間の95%をも上回った。
次の課題は、道路利用者の行動予測だ。例えば、初めてスケートボーダーに遭遇したとき、システムが正しく判断するかどうかが焦点となる。いざとなれば人間ドライバーに運転を任せる(交代する)ことになるが、試験運転時にこれがどの程度の頻度で起きているのか、コンチネンタルはコメントを避けている。
同社のクルト・レーマン最高技術責任者(CTO)は、将来的に「公道を走る車に搭載される人工知能には一定の規格をクリアすることが求められるだろう」と予測する。自動車メーカーのなかには2020年代初めには自動運転車が市場投入されると予測するところもあり、実用化に向けて早めの法整備が求められている。