欧州委員会は7日、米メディア大手21世紀フォックスによる英有料テレビ最大手スカイの買収計画を承認したと発表した。両社の間で競合する事業分野はテレビ向けコンテンツの取得や有料チャンネル向け番組供給など、ごく限られた範囲にとどまるため、スカイの買収を認めても欧州メディア市場で競争が阻害される恐れはないと判断した。
スカイに39%出資するフォックスは昨年12月、未保有の株式61%を117億ポンドで取得し、スカイを完全子会社化することで合意した。フォックスはメディア王ルパート・マードック氏が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めており、同じくマードック氏の傘下で高級紙タイムズや大衆紙サンを発行するニューズ・コーポレーションと共に、英メディア業界で強固な基盤を築いている。一方、スカイは英国、アイルランド、イタリア、ドイツ、オーストリアで計2,200万人の会員を擁し、サッカーの英プレミアリーグや自動車レース「F1」などの放映権を保有している。
スカイの買収計画をめぐっては、英通信・メディア監督機関の放送通信庁(Ofcom)と競争・市場庁(CMA)も調査を進めている。フォックスによる買収が成立した場合、英国ではマードック氏によるメディア支配が強まることになるため、大手メディア企業の経営統合が「メディアの多様性」を損ない、公共の利益を脅かす恐れがあるとして、文化・メディア・スポーツ省が先月、両機関に調査を要請した。OfcomとCMAは5月16日までに調査結果をまとめることになっており、これを受けてブラッドリー文化・メディア・スポーツ相が最終判断を下す。