欧州中銀が金融政策維持、物価動向をなお警戒

欧州中央銀行(ECB)は4月27日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、金融政策の維持を決めた。ユーロ圏では景気の緩やかな回復が進んでいるが、物価上昇の基調はなお弱いとして、超低金利政策と大規模な量的金融緩和の継続が必要と判断した。

ECBは12月の理事会で、ユーロ圏の国債などを買い取る量的緩和について、毎月の買い取り額を4月から200億ユーロ縮小し、600億ユーロとする一方で、同措置を9カ月延長し、2017年12月末まで継続することを決定した。

理事会は同方針を維持することを確認。政策金利も変更せず、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置くことを決めた。

ユーロ圏では景気回復、インフレ率の上昇が続いていることから、ドイツが緩和を段階的に縮小して正常化する「テーパリング」を求める圧力を強めている。ドラギ総裁も理事会後の記者会見で、景気回復が「堅実」になっており、下振れリスクが低下していると述べた。しかし、3月のインフレ率が前月の2%を大きく下回る1.5%に縮小し、価格変動が激しいエネルギー、食品、アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率が0.7%と低水準にとどまっていることから、「物価上昇圧力は依然として弱い」と指摘。金融緩和継続の必要性を強調し、必要に応じて量的緩和を拡充する用意があることを明らかにした。

ただ、ドラギ総裁が景気見通しに関する楽観的なトーンを強めたことで、市場ではテーパリングに一歩近づいたとの観測が広がり、ECBが仏大統領選の結果を見極めた上で、早ければ6月の理事会で金融政策の見直しを示唆するとの見方が出ている。

4月のインフレ率、1.9%に拡大

一方、EU統計局ユーロスタットが28日発表した4月のユーロ圏のインフレ率(速報値)は前年同月比1.9%となり、上げ幅は前月の1.5%から大きく拡大した。分野別の伸び率はエネルギーが7.5%、工業製品が0.3%、サービスが1.8%。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は1.2%で、前月の0.7%から0.5ポイント拡大した。

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