ブロックチェーンで電力の需給調整、再生エネの利用拡大を可能に

ドイツで送電網事業を手がける蘭テネットと蓄電池のネットワーク事業を展開する独ゾンネンは2日、ブロックチェーン技術を利用した電力需給調整のパイロットプロジェクトを実施すると発表した。再生可能エネルギー電力の増加で上昇している需給調整コストを圧縮し、再生エネの利用が今後一段と増えても受給に支障が出ないシステムを構築する考えだ。

テネットは風力が強い北部地域の風力発電パークで発電された電力を消費地の南部地域に輸送するための高圧送電網を運営している。現在は需要が少ないと風力発電を停止。発電できなかった分の補償金を発電パーク事業者に支払っている。ドイツで送電事業を展開する4社が支払った同補償金の額は昨年8億ユーロに上った。そのコストは電力料金に上乗せされて最終消費者が負担している。

十分な規模の蓄電能力があれば需要不足時に発電を停止する必要がないことから、テネットは今回のプロジェクトをゾンネンと共同で実施する。

ゾンネンは独自開発のソフトウエアを用いて◇太陽光発電システムと蓄電池をともに持つ世帯をネットワーク化する◇過剰な電力を持つ世帯から電力が不足する世帯に電力を融通する――という方式で事業を展開している。「ゾンネンコミュニティ」という名の同ネットワークに参加する顧客数は1月時点で1万2,500世帯に達した。

両社のプロジェクトではゾンネンコミュニティに参加する世帯の小型蓄電池をテネットの送電網に連結。送電網に過剰な電力が供給される際はこれを同コミュニティ加入世帯の蓄電池に蓄え、電力不足時にはこれらの蓄電池から電力の供給を受けるようにする。

これを実現するために透明な取引と取引の事後検証を可能にするブロックチェーン技術を活用する。同プロジェクトではIBMが開発したオープンソースの同技術ソリューションを投入する。

上部へスクロール