従業員の代表である事業所委員が重大な義務違反を行った場合、雇用主や労組、事業所委員会は当該委員の解任を労働裁判所に申請できる。これは事業所体制法(BetrVG)23条1項に記されたルールである。このルールを巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年7月の決定(訴訟番号:7 ABR 14/15)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。
裁判は排水処理会社が同社の事業所委員Aを対象に起こしたもの。経営陣は2014年1月21日、親会社R AGが同社の売却を計画している事実を事業所委員長と副委員長に伝えた。その際、この情報が企業秘密であることも伝えた。
事業所委員長はこれを受けて29日に事業所委員会の会議を開催し、出席した委員に売却計画を伝達。計画は企業秘密であり、他の社員や外部に伝えてはならないと念押しした。
それにもかかわらずAは2月17日に開催されたサービス労組Verdiの会合と同20日の従業員集会で売却計画を漏えいした。この結果、マスコミが売却計画を報道し、売却交渉に悪影響が出たことから、同社は3月25日、Aの解任を労働裁判所に申請した。
同社では翌月15~16日に事業所委員の選挙が行われ、Aは再び委員に選出された。
原告排水会社は2審で勝訴したものの、最終審のBAGで逆転敗訴した。決定理由でBAGの裁判官は、事業所委員の義務はそれぞれの任期の終了をもって消滅すると指摘。再選された事業所委員が以前の任期中に重大な義務違反を犯していたからといって、それを根拠に解任することはできないとの判断を示した。