自動車大手フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループは5日、主力のVWブランド乗用車で昨年11月に打ち出した長期事業計画「トランスフォーム2025+」の進捗状況などを明らかにした。これまで低迷していた売上高営業利益率はすでに改善しており、同ブランドのアルノ・アントリッツ取締役(財務担当)は同利益率目標の引き上げを視野に入れていることを明らかにした。
トランスフォーム2025+はブランド・ポジショニングの明確化と事業効率・生産性の向上、電気駆動車やモビリティーサービスの拡充を通して競争力を強化していくことを狙ったもので、目標を3段階に分けて実現していく考え。第一段階は2020年までで、事業再編と並行して今後の競争のカギとなる分野で技術やノウハウを強化する。第二段階は25年までで、電気駆動車の分野で世界トップの地位を確立する。最終段階の25年以降には電気駆動車やコネクテッドカー、自動運転車が幅広く普及した新しい市場環境下で新しいモビリティソリューションや事業モデルを開発し、業界を主導する立場に立つ目標だ。
VWブランド乗用車は販売規模がグループ内で最も大きいものの、売上高営業利益率は長年、低迷しており、昨年は2.1%にとどまった。同社はこれを改善する考えで、2020年までに4%、25年までに6%へと引き上げる目標だ。
今年1-3月期(第1四半期)は4.6%に達し、前年同期の0.3%から大幅に上昇した。販売増や為替差益のほか、コストの圧縮が奏功した格好。今年通期でも2.5~3.5%の確保を見込んでいる。
同社は新モデルの販売攻勢もかけていく考えで、今年は10モデルを市場投入する。電気駆動車については25年までに年販売台数を約100万台に拡大。20年からはEモビリティ戦略の中心となる「I.D.」ファミリーを販売していく。
VWブランド乗用車のヘルベルト・ディース社長はI.D.の生産効率を従来の車両よりも約25%高めることで、生産コストをディーゼル車並に引き下げる考えを明らかにした。技術コンセプトとデザインは年内に確定する予定だ。生産は独東部のツヴィッカウで行う。
これまで手薄だったSUVも拡充する方針で、20年までにモデル数をこれまでの2種類から19種類へと増やしていく。