スタンダードチャータード―独にEU統括拠点開設へ―

英大手銀行スタンダードチャータード(ロンドン)は3日の株主総会で、欧州連合(EU)事業を統括する子会社をドイツの金融都市フランクフルトに設立することを明らかにした。英国のEU離脱(ブレグジット)を見据えた措置で、ブレグジット後にEU域内で事業を行うのに必要ないわゆる「パスポート」を新会社に取得させる。同パスポートの取得に向けて現在、独銀行監督庁と協議している。

同行はアイルランドのダブリンにEU統括子会社を設立することも検討していた。最終的にフランクフルトに白羽の矢を立てたのは、ユーロ決済の清算業務を統括する支店を同市に構えているためだ。この関係で、同支店の雇用規模(約100人)は他の大陸欧州諸都市の拠点に比べて大きい。

フランクフルトに設立する新会社は法的に独立した株式会社ないし有限会社とする考え。パストート取得に最大1年を要するとみている。同市にある支店はパスポートを取得するまで存続させ、取得後に新会社へと統合する。

スタンダードチャータードはアジアが主要な業務地域であるため、EU事業の比重は比較的小さく、ブレグジットの影響もあまり大きくない。それでも英国以外のEU加盟国にパスポートを持つ子会社を確保しないと、ブレグジット後はEU事業に大きな支障が出るためフランクフルトに新会社を設立する。

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