チェコ・ソボトカ首相、バビシュ財務相を解任

チェコのソボトカ首相(社会党:CSSD)は5日、内閣総辞職の意向を撤回するとともに、バビシュ副首相兼財務相(ANO)を解任すると発表した。同財務相の脱税疑惑を受けたもので、同日のゼマン大統領との会談後に明らかにした。現時点で後任は決まっていない。

バビシュ財務相を巡っては、就任前の2012年末に150万コルナ(5万6,000ユーロ弱)相当の免税債を自身が所有する農業・化学大手アグロフェルトから買取った行為が法の穴をくぐった脱税対策だったという疑惑が浮上。警察及び金融当局が脱税容疑で捜査を開始していた。

財務相は「当時の法律に従っただけだ。納めなければならないものは納めている」と問題性を否定しているが、ソボトカ首相は財務相としての信用性に関わるとみて辞職を迫っていた。しかし、財務相にその意思がないことから、2日に内閣総辞職の意向を示していた。この時点でバビシュ財務相を解任することも可能だったが、10月に議会選を控えた現在、実行すれば財務相が「政争の犠牲者」として選挙戦を有利に進めるとみて見送った経緯がある。

今回ゼマン大統領は総辞職の意向を示す首相に対し、首相単独の辞任であれば受け入れる考えを表明したとされ、首相としては財務相を解任するほかなかった格好だ。バビシュ財務相はゼマン大統領と懇意の間柄とされる。

ソボトカ首相の社会党は人気が低迷している。STEM社会研究所の政党支持率調査では、バビシュ氏のANOが28%と1位なのに対し、社会党は17%と、11ポイントも水を開けられている。3位の共産党との差も5ポイントまで縮まっている。(1CZK=4.51JPY)

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