ドイツテレコム―米子会社買収にソフトバンクが意欲―

ドイツテレコム(ボン)の米移動通信サービス子会社TモバイルUSが業界再編の目玉となりそうだ。ソフトバンクの孫正義社長は10日、米通信業界の再編に言及するなかで、ソフトバンクの米移動通信子会社スプリントとTモバイルUSの合併に意欲を表明。ドイツテレコムのティム・ヘットゲス社長は11日、今後本格化する米業界再編のプレイヤーには「TモバイルUSも含まれる」と明言した。

ソフトバンクは2014年、TモバイルUSの買収を目指した。だがこの時は独禁当局の承認を得る見通しが立たず、断念に追い込まれた。

ソフトバンクがTモバイルUSの買収に再び意欲を示す背景には、1月に成立した米トランプ政権が規制緩和に前向きな姿勢を打ち出していることがある。周波数帯入札に伴い禁止されていた米業界の買収交渉が4月下旬に解禁されたこもあり、孫社長は今が好機と判断したもようだ。ブルームバーグ通信は12日、TモバイルUS買収に向けてソフトバンクがドイツテレコムと非公式に接触したと報じた。

ドイツテレコムは11年、経営不振のTモバイルUS(当時TモバイルUSA)を米同業AT&Tに売却することで合意したものの、市場の寡占が進むことを警戒する米当局の承認を得られずとん挫。自力再建へと切り替えた。

これが奏功し、TモバイルUSはドイツテレコムの業績のけん引車となっている。このため、TモバイルUSから将来的に資本を引き揚げる当初の計画は立ち消え状態となっており、ソフトバンクが買収を打診してもこれに応じるかどうかは不明だ。また、売却するにしても売り急ぐ必要がないため、売却交渉先の足元を見る可能性がある。

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