独ミュンヘン市のディーター・ライター市長はこのほど、独日刊紙『南ドイツ新聞(SZ)』に対し、広範囲に及ぶディーゼル車の通行制限を検討していると明らかにした。大気中における有害物質の計測数値が許容水準を大幅に超えているためで、特に窒素酸化物(NOx)の数値が高まっているという。ミュンヘン市がどの水準の排ガス規制に適応したディーゼル車に通行制限を適応するかによって影響を受ける規模は異なるが、SZ紙では、13万3,000~17万台が通行制限の対象となる可能性があると報じている。
今回のライター市長の対応は、環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)がバイエルン州の行政裁判所にバイエルン州とミュンヘン市を提訴したことを受けたもので、バイエルン州とミュンヘン市は、6月29日までに計測値を提示しなければならない。SZ紙によると、ミュンヘン市のNOx値は、交通量の多い幹線道路や市内への進入路以外でも恒常的に規制値を上回っているという。
SZ紙によると、ミュンヘン市では現在、登録されている乗用車72万台のうち、ディーゼル車が29万5,000台を占めている。ライター市長は排ガス規制「ユーロ6」の基準を満たしたディーゼル車は対象外とする可能性を示唆しており、救急車や災害対応などの緊急車両や近距離交通、タクシーなどに例外規定を設ける意向も示している。また、通行制限が短期間で最も効果を得られる方法であり、通行料の導入では、料金を支払えば通行が可能なため、効果が限られるとの見解も示した。
ただ、通行制限の権限が自治体あるいは州にあるかの問題が明らかになっておらず、ミュンヘン市が単独で通行制限を実施できるかどうかは不透明な状況にある。当該問題については、ライプチヒの連邦行政裁判所が秋に判決を下す予定であり、ミュンヘンのディーター・ライター市長は、自治体が単独で通行制限条例を施行できるようであれば、年内にも市議会で通行制限について採決する方針を示している。