ユーロ圏が対ギリシャ追加融資を決定、IMFの支援参加受けて最終合意

EUは15日に開いたユーロ圏財務相会合で、ギリシャへの金融支援再開について最終合意した。国際通貨基金(IMF)が支援復帰を表明したことで、最後の障害が取り除かれ、合意に至った。これによってギリシャはデフォルト(債務不履行)を回避できることになった。

債務危機が続くギリシャは、7月に約70億ユーロの債務返済期限を迎えるため、追加融資を必要としている。今回の合意によって、ユーロ圏が金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)を通じて、85億ユーロの融資を実施することが決まった。第1弾として7月初めに77億ユーロの融資を実施する。残る8億ユーロの実施は夏以降となる。

今回の融資は、EUが2015年に決めた総額860億ユーロに上る第3次支援の一部。債権団が条件として求めている追加の財政再建策をめぐる協議が難航し、実施できない状況が続いていた。

もうひとつの難題が、IMFの支援復帰。IMFは第1、2次金融支援に加わったが、3次支援への参加は見送っている。ギリシャの債務問題を根本的に解決するためには、債務の軽減によって持続的な財政運営を可能としなければならないという主張が、ユーロ圏に受け入れらないことが背景にある。ギリシャとユーロ圏は4月、財政再建策について合意したものの、ドイツがIMFの支援参加を取り付けない限り追加融資を認めないという姿勢を崩さず、5月のユーロ圏財務相会合で支援再開が見送られた。

今回の財務相会合では、大規模な債務軽減を求めるIMFと、これに難色を示すユーロ圏の溝が埋まり、IMFが支援参加を表明。最大20億ドルの融資枠を設けることに同意した。これで最後の問題が解決し、ギリシャへの追加融資実施が正式に決まった。

これまでユーロ圏側は、ギリシャが約束した財政改善策を実施し続ければ、債務軽減は不要という立場を堅持していた。これに対してIMFは、ギリシャの経済成長に関するユーロ圏の見通しは楽観的で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)が国内総生産(GDP)比3.5%以上の黒字となる状態を続けるという目標は「非現実的」と指摘。債務軽減が不可欠と主張していた。

ユーロ圏はIMFの支援参加に向けて、第3次支援が終了する18年半ば以降に、債務返済期間を最大15年延長する方向で検討する意向を表明。これでも不十分とするIMFへの妥協策として、フランスの提案に基づき、債務軽減の規模をギリシャの経済成長とリンクさせて決めることでも合意し、その詳細を来年中に固めることを決めた。

これをIMFは評価し、支援に参加する方針を打ち出した。ただし、実際の融資実施は、債務軽減策の詳細が固まるまで見送る。

ギリシャのツァカロトス財務相は、支援再開が決まり、債務軽減の道も開けたことを「トンネルに光が見えてきた」と歓迎。IMFのラガルド専務理事は、とりあえず債務軽減に向けて動き出したことについて「ベストの解決策とはいえない。それでも最悪ではなく、セカンドベストの解決策だ」と述べた。

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