携帯電話の国際ローミング料、EUで原則廃止

EUは15日付で、国外で携帯電話を使用する際に徴収されていた国際ローミング(相互接続)の手数料を原則として廃止した。EU市民は域内のどこにいても、自国と同じ料金水準で通話やデータ通信などのサービスを利用できるようになる。

EUでは2007年に採択された「携帯電話のローミングに関する規則」(2007年)に基づき、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際のローミング料金が段階的に引き下げられてきた。これは情報・通信分野における利便性の向上や、企業の競争力強化を目的とする「デジタル単一市場」の創設に向けた取り組みの一環で、15年10月には17年6月15日までに国際ローミング料を撤廃するための法案が採択された。

国際ローミングの原則廃止はEU28カ国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの域外3カ国が対象で、これらの地域の居住者すべてに適用される。ただ、ローミング料が撤廃されると、ある国の消費者が料金水準の低い国で加入契約を結び、実際には自国や第3国でサービスを利用したり、通話料金の安い国でSIMカードを購入し、自国で恒常的に利用するといったケースが想定される。

こうした悪用を防ぐため、携帯電話事業者は加入者の利用状況をチェックし、国内より他の国での利用頻度が高い場合は少額のローミング料金を徴収することができる。ただし、事業者は該当する利用者に対して事前に追加料金が発生する旨を通知しなければならず、利用者は異議を申し立てることができる。また、国境を越えて通勤・通学する利用者は課金の対象から除外される。

課金額は通話が1分当たり最大0.032ユーロ、ショートメッセージングサービス(SMS)は送信1件当たり0.01ユーロ、データ通信は0.0077ユーロに制限される。データ通信に関しては、来年1月から段階的に上限を引き下げ、22年以降は最大0.0025ユーロに制限される。

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