ドイツのアンゲラ・メルケル首相は16日、武田薬品工場の独オラニエンブルク工場で開催された新製造施設の竣工式で、欧州連合(EU)と日本が交渉している経済連携協定(EPA)の実現に意欲を示した。米国のトランプ政権が保護主義へと舵を切ろうとしていることを念頭に、自由貿易は有益であるという確信をドイツと日本は共有していると明言。「保護主義はせいぜい短期的なメリットをもたらすに過ぎない」と述べ、「オープンで公平な競争」の意義を強調した。
メルケル首相は5月下旬にイタリアで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議でトランプ大統領に期待できないと判断。直後に「我々が他者を全面的に信頼できる時代はある程度、過ぎ去った」と明言した。その後は主要20カ国・地域(G20)の構成国であるインド、中国、アルゼンチン、メキシコの首脳と相次いで会談し、自由貿易堅持に向けた合意を精力的に取り付けている。ドイツはハンブルクで7月に開催されるG20首脳会議の議長国となっていることから、これに向けた地ならしの一環として今回の発言を行ったとみられる。