スペインの自動車部品大手ゲスタンプは14日、日本(東京)に研究開発(R&D)センターを開設したと発表した。これにより、車台(シャーシ)やホワイトボディ(塗装する前のボディシェル)の開発において、初期段階から日本メーカーと協力しやすい環境を整える。新R&Dセンターの従業員数は60人超となる予定。すでに10件の共同開発プロジェクトが進行しているという。
新R&Dセンターでは、衝突試験のシミュレーションや、超高強度鋼部材の成形系技術であるホットスタンピングのシミュレーションを実施することができる。顧客の拠点で直接、作業をしている既存のエンジニアリングチームを補足する役割もあり、日本におけるR&Dのハブ拠点に位置付ける。
ゲスタンプの2016年の総売上高に占める日本メーカーの売上比率は、2010年比で3倍の7%に拡大している。日本メーカー向けの金属部品は、米国、中国、トルコ、ブラジル、英国、フランス、スペインの工場から出荷している。
■ 日本メーカー向けの事業強化、三井物産が資本参加
ゲスタンプは2017年2月には、三重県松阪市に同社にとって日本初の工場を建設すると発表した。新工場では、日本国内の自動車メーカー向けにホットスタンピング技術を使用したメタルボディ材(ホワイト部品)を生産する。同工場は2018年上半期に操業を開始する予定。
ゲスタンプが日本事業や日本メーカーとの協力関係を強化する背景には、三井物産による資本参加も関係している。三井物産は2016年に特別目的会社ゲスタンプ2020への出資を通して ゲスタンプの株式の12.525%を間接保有している。2013年には、北米・南米に工場を持つゲスタンプの米州事業グループにも30%を出資している。