ロシア国営ガス会社ガスプロムは先ごろ、現地企業の「カスピ海イノベーションカンパニー(KIK)」と同国南部のアストラハン州にガス化学工場を建設するための基本合意書に調印した。新工場ではポリマーを生産する予定で、建設予定地は原料を供給するガスプロムのアストラハン・ガス生産工場に隣接する場所となる。一部報道によると、同プロジェクトの総費用は600億ルーブル(8億9,900万ユーロ)。一部は同国の国営開発銀行ブネシュエコノムバンクなどが融資する。完成は2020年となる見通し。
建設にあたってはKIKが実現可能性調査(FS)を実施する。また、新工場に原料のエタンを供給するガス生産工場の天然ガス加工施設を改修するため、ガスプロムも別途FSを実施する。両社のFSに基づきプロジェクトの今後を決定する予定だ。複数の報道によれば、既存施設の改修と新施設の建設は今年暮れにも開始される見通し。
KIKはプラスチックパイプなどを生産する同国の樹脂加工大手メタクレイ(Metaclay)の傘下にある。メタクレイの発表によると、今回建設される新工場では高密度及び低密度ポリエチレンを年間33万トン生産し、そのうち70%を輸出する予定。残りはメタクレイの工場で原料として利用する。
アストラハン・ガス生産工場はガスプロム子会社のガスプロム・ドブチャ・アストラハンによって運営されている。
ガスプロムは長らくアストラハン州にプラスチックの生産設備を建設することを計画しており、同国の化学大手シブールがプロジェクトのパートナーとみなされていた。(1RUB=1.85JPY)