在住EU市民の権利保障、英政府が具体案発表

英国のメイ首相は6月26日、同国のEU離脱をめぐって焦点となっている在住EU市民の権利保障に関する具体案を発表した。先のEU首脳会議で示した基本方針に肉付けしたもので、離脱前の居住期間が5年を超える人に永住権を認めることが柱となっている。

英国に住むEU加盟国出身者は約320万人に上る。これらの人の扱いは、英国とEUが先月19日に開始した離脱交渉で最初に解決するべき重要分野のひとつに位置づけられている。メイ首相は22日のEU首脳会議で、英国に5年以上にわたって居住したEU市民に、EU離脱後も永住権を認め、教育、年金、医療などで英国民と同等の権利を保障する方針を打ち出していた。

メイ首相が議会で発表した具体案によると、こうした権利が認められるのは、「指定日」までに英国在住期間が5年を超えるEU市民。新たに設ける永住権資格を申請する権利を与える。「指定日」は未定だが、英政府がEUに離脱を通告した今年3月29日以降で、実際にEUを離脱する日より前の日付に設定する。

指定日より前に居住したものの、在住期間が5年に満たない人については、暫定在住権を与え、在住期間が5年を経過した時点で永住権を申請できるようにする。

指定日以降に入国した人に関しては、一定期間の居住を認め、在住期間が5年を過ぎれば永住権を申請する権利を与える。

一方、永住権を持つEU市民と英のEU離脱前に結婚した配偶者は、在住期間が5年を経過すれば永住権を申請できる。離脱後に結婚した配偶者の永住権については、非EU加盟国出身者の市民権取得に関する現行ルールを適用する。

永住権を持つEU市民の子供は、自動的に永住権が認められる。さらに、英国で生まれた場合は市民権を与える。

これらのルールは、EUが域内に在住する英市民にも同様の権利を保障することが前提となる。また、英在住のEU市民の権利をめぐって法的判断が必要になった場合は、欧州司法裁判所ではなく、英国の裁判所が管轄することを求める。

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