BMW、間接費用で10億ユーロのコスト削減を計画

独高級車大手のBMWは、見本市の出展や倉庫のフォークリフトなど自動車生産に直接関係しない間接コストを2019年までに少なくとも10億ユーロ削減することを目指している。同社のマークス・デュースマン取締役(調達・サプライチェーン担当)が独経済紙『ハンデルスブラット』に明らかにした。開発コストが上昇する中、コスト削減による資金確保も必要になる、と理由を説明した。

同紙によると、BMWのハラルド・クリューガー社長は今後3年間で開発予算を総額で24億ユーロ積み増す方針で、1年あたりの開発予算は現行の52億ユーロから60億ユーロに拡大する。追加予算は主に、電気駆動車や自動運転技術の開発に投資する。

コスト削減については、BMWのニコラス・ペーター財務担当取締役も先ごろ、利益率改善に向けた対策の例として、「我々が提供しているハンドルは現在100種類以上もある。少数の顧客にしか需要のないものは整理する必要がある」と述べていた。

同紙によると、BMWグループではこのほか、取締役や監査役が小型車ブランドMINIの駆動装置について、いつまで内燃エンジン車を中心にすべきであるかを活発に議論しているもよう。排ガス浄化装置のコストが重くなると、採算が合わなくなることが背景にある。

■ 直接調達費でもコスト削減を検討

デュースマン取締役は『ハンデルスブラット』紙に対し、具体的な金額には言及しなかったものの、駆動装置やシートなど車両に直接組み込む部品(直接調達費)についてもコスト削減を検討していく方針を示した。

同紙が業界筋から情報によると、BMWは独競合のダイムラーとの共同調達の規模をここ数年の間に、10億ユーロから約50億ユーロに引き上げたとされている。両社は、窓の開閉を操作するウインドウレギュレーターや、シートベルトの張力を制御するプリテンショナーなどを共同調達している。

■ ボッシュに損害賠償請求

デュースマン取締役はこのほか、5月にBMWの一部の工場で、独自動車部品大手ボッシュからの部品供給が滞り、生産を縮小・停止した問題に言及し、ボッシュと損害賠償について交渉していることを明らかにした。

同取締役によると、BMWでは生産の中断により5,000万ユーロ前後のコストが発生した。また、出荷遅延によるコストもボッシュに請求する意向であるとした。生産の中断により、顧客に予定通りに納車できなかった車両は約8,000台に上り、代車などの補償費用が発生したという。

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