ギリシャへの過剰赤字是正手続き、欧州委が解除を勧告

欧州委員会は12日、ギリシャの財政改善が進んでいることを受けて、同国に発動している過剰赤字是正手続きの解除を勧告した。加盟国の承認を経て正式決定する。ギリシャは財政健全化の努力が認められた格好で、国債発行再開に向けて弾みがついた。

ギリシャは深刻な財政危機に陥った2009年に、EUから過剰赤字是正手続きを発動された。しかし、国際金融支援を受けながら、緊縮策と増税などによる財政改善に取り組んだ結果、09年に国内総生産(GDP)比15.1%に達していた財政赤字が縮小。16年にはGDP比0.7%の黒字に転じた。

今年は赤字となる見通しだが、赤字幅はEUの財政規律を定めた安定成長協定で上限となっているGDP比3%を下回る1.2%にとどまると予想されている。このため欧州委は、赤字是正手続きの解除を決めた。

ギリシャは09年以降、14年に国債を2度発行したのを除いて、国債で資金を調達できない状況にある。財政再建計画をめぐる対立などで凍結されていたEUによる金融支援の再開が先ごろ決まったのに続き、過剰赤字是正手続きを解除されることで、信用の回復が期待でき、国債発行再開に近づいた形となる。

欧州委の解除勧告が加盟国に承認されると、EUで過剰赤字是正手続きを適用されるのはフランス、スペイン、英国の3カ国だけとなる。

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