ドイツがEMA移転先に名乗り、加盟国の誘致合戦が本格化

英国のEU離脱に関連して、ロンドンに本部を置くEU機関の移転をめぐる誘致合戦が本格化してきた。ドイツは12日、欧州医薬品庁(EMA)をボンに誘致したい意向を表明した。EUの薬事規制を統括するEMAをめぐっては、フランス、フィンランド、デンマーク、オランダ、スペインなども誘致に強い意欲を示しており、欧州委員会が移転先を決定する11月に向けて加盟国間の綱引きが激しくなりそうだ。

1990年の東西ドイツ統一まで西ドイツの首都だったボンには現在も多くの政府機関や国際機関が残っている。グレーエ保健相は声明で「EMAがドイツに移転すれば、高度な専門性と強力な国内の関連機関との緊密な連携を手に入れることができる。科学的、経済的に優れたボンの環境は、EMAにとって最高の移転先になる」と強調した。

新薬の承認審査や市販後の安全性確認などを担うEMAは約900人の職員を抱える。移転先の候補として、現時点ではフィンランドの首都ヘルシンキ、スペイン東部のバルセロナ、フランス北部のリールなどが有力視されている。交通アクセス、雇用機会、職員の子弟が通う学校など、さまざまな評価基準をもとに欧州委が総合的に判断することになっているが、最終的には加盟国間の話し合いで決まるとの見方が一般的だ。

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