サノフィが米プロテインサイエンス買収、ワクチン事業を強化

仏製薬大手サノフィは11日、ワクチン開発を手がける米プロテインサイエンスを買収すると発表した。買収額は最大7億5,000万ドル。サノフィは過去1年間に2件の大型買収で敗北していたが、プロテインサイエンスの買収を機に、世界規模でワクチン事業の収益拡大を図る。

プロテインサイエンスは1983年設立の非公開企業。主力製品の遺伝子組み換え法によるインフルエンザワクチン「フルブロック」は2013年に米食品医薬品局(FDA)の認可を取得し、すでに販売されている。組み換え型ワクチンは鶏卵や感染性のあるウイルスそのものを使用しないため、従来型のふ化鶏卵培養法に比べ、短期間でより安全に製造できるという利点がある。

サノフィはプロテインサイエンスにまず6億5,000万ドルを支払い、業績に応じて最大1億ドルを上乗せする計画。プロテインサイエンスの取締役会は全会一致でサノフィの買収提案を承認し、大部分の株主も支持を表明している。このためサノフィは9月末までの取引完了を見込んでいる。

サノフィは昨年4月、米バイオ医薬大手メディベーションの買収に乗り出したが、同社はサノフィの提案を拒否し、米ファイザーに身売りした。さらにサノフィはスイスに本社を置く欧州最大のバイオテクノロジー企業アクテリオン・ファーマシューティカルズと買収に向けた交渉を進めていたが、最終的に米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J & J)が300億ドルでアクテリオンを獲得した。

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