独自動車大手のダイムラーは18日、欧州でディーゼル車300万台超を対象にした自主的なリコール(回収・無償修理)を実施すると発表した。3月から実施しているコンパクトクラスとVクラスを対象にしたリコールを大幅に拡大するもので、欧州で排ガス規制「ユーロ6」と「ユーロ5」に適応する車両のほぼ全てに対象を広げる。また、リコールの拡大に加え、新開発のディーゼルエンジンシリーズを早期に導入していく方針も発表した。
ダイムラーに対しては、『南ドイツ新聞』などの報道により、排ガスを違法に操作する不正なソフトウエアをディーゼル車に搭載しているとの疑惑が浮上している。このため、自主的なリコールの拡大は、同社やディーゼル車に対する不信感を早期に払拭する狙いがあると見られている。ダイムラーは今回のリコール対象の拡大に約2億2,000万ユーロを投資する。
ダイムラーは2016年に新しい4気筒ディーゼルエンジン「OM654」を新型「Eクラス」に先行導入した。今回の発表では、同エンジンシリーズを同社のラインアップ全般に早期に採用していく方針も示した。
ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は今回の措置について、「ディーゼル車をめぐる議論が、特に顧客の間で、不安を招いている。対応措置の拡大を決めたのは、ディーゼル車のドライバーに再び安心をもたらし、ディーゼルエンジンへの信頼感を高めるため」と説明している。
ダイムラーは3月から、コンパクトクラスとVクラスの27万台を対象に排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の排出量を低減するための自主的なリコールを実施している。今回のリコールは、数週間以内に開始する予定。顧客に費用は発生しない。ただ、ダイムラーは、規模が大きいため、対応は長期になると説明している。