ドイツの高速道路(アウトバーン)A9号線で先月に起きたバス追突事故で衝突後に短時間でバス全体が炎上したのは、車体構造と損傷個所に原因があるもようだ。捜査当局が2日に発表した中間報告で明らかにしたもので、バスの設計のあり方を巡り議論を呼びそうだ。
事故は7月3日午前7時過ぎに起きた。独東部の観光客を乗せてイタリア方面に向かっていたバスが前方のトラックに衝突。その後の炎上で乗客・乗員18人が死亡し、30人が怪我をした。
衝突の原因はバス運転手の過失であることが分かった。事故現場付近では道路工事で3車線のうち1車線が通行止めとなっており、車の流れが滞っていた。前方を走行していたトラックは段階的にスピードを計80キロ(時速)落とし、衝突時は28キロで走行していた。一方、バスはトラックに60~70キロのスピードで追突。その直前に事故を回避しようとしてハンドルを右に切っていることから、運転手は前方への注意を怠っていたことが分かる。
衝突の結果、バスのフロントの左下部(運転席の下部)が1.5~2メートル、後ろに押し下げられた。このとき、運転席の下部にあったバッテリーとその後部にあった予備燃料タンク(容量300リットル)およびブレーキ力強化などのために搭載されている圧縮空気タンクが損傷。バッテリーのショートで高熱のアーク放電が発生し、霧状となったタンク燃料に引火した。さらに、圧縮タンクから空気がもれたうえ、客室の床が損傷したことから、火は車内全体に瞬く間に広がった。