西南ドイツの幹線鉄道が不通に 欧州南北物流に支障、復旧は10月に

独フランクフルトとスイスのバーゼルを結ぶ幹線鉄道の一部区間が無期通行止めとなっている。路線下のトンネル工事の不手際が原因で地盤が大幅に沈下し通行できない状態に陥ったためだ。同区間はオランダとイタリアを結ぶ貨物列車の主要ルートに当たることから、物流への影響も懸念されている。

地盤沈下はカールスルーエ南部のラシュタット市で12日に発生した。同市では現在、鉄道輸送能力の拡張に向けたトンネル工事が行われている。地盤がもろいうえ地上からわずか5メートルの地中を掘削することから、工事では土壌をマイナス35度で凍結して強度を確保するという工法が採用されたものの、十分な強度を保てなかったもようだ。

事故の結果、ラシュタットとバーデン・バーデンを結ぶ区間が通行できなくなった。ドイツ鉄道(DB)は当初、早ければ26日に復旧できるとの見方を示していたが、地盤沈下がさらに進んだことから15日に「(復旧の)正確な予測はできない」との声明を発表。22日になって10月7日に復旧する見通しを明らかにした。

DBは臨時ダイヤを組んで対応しているものの、ラシュタット~バーデン・バーデン間を代替バスの運行に切り替えているため、カールスルーエ~バーデン・バーデン間の運行時間(長距離列車)は通常よりも1時間程度、長くなっている。また、ラシュタット駅は小さく高速鉄道(ICE)などに対応していないことから、車両の一部はプラットフォームの外部にはみ出して停車する格好となっている。車両とプラットフォームには段差もある。

同区間では通常、貨物列車が1日当たり200編成、通行している。事故後は迂回ルートが利用されているものの、キャパシティに限界があるため、鉄道貨物輸送に遅れが出るのは避けられないもようだ。

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