ドイツ国内の通信速度を2018年までに最低でも50メガビット/秒(Mbps)へと引き上げる政府目標は達成できないもようだ。緑の党の質問に対する連邦交通省の回答をもとに地方紙『ノイエ・オスナブリュッカー・ツァイトゥング』が報じたところによると、50Mbps以上のブロードバンド世帯普及率は現在75%に過ぎず、地方部では33.8%にとどまる。
通信インフラは人口が少ない地方で近代化が進んでいない。ブロードバンド網を構築しても採算が取れず、通信各社が投資を見合わせてきたためだ。地方には優良な中小企業が多く、ドイツ経済の屋台骨となっているが、通信速度の遅さはこれら企業の大きな足かせとなっていることから、2013年に成立した現政権は18年までに国内の通信速度を最低50メガビット/秒に引き上げる目標を設定。助成金交付などを通して普及率の引き上げを図っているものの、十分な効果が出ていない。
ブロバン普及率は特に東部の州で低く、最下位のザクセン・アンハルトは48.4%にとどまった。下位の5州はすべて東部の州が占めている。
都市州であるハンブルク、ブレーメン、ベルリンの3州はすでに90%を超えた。都市州以外では大都市が集積する西部のノルトライン・ヴェストファーレンが最も高く、82.2%に上る。これにシュレスヴィヒ・ホルシュタイン(80%)、ヘッセン(78.3%)が続く。
通信速度が特に早い光ファイバーの普及率は7.1%で、地方部に限ると2.1%にとどまる。高速通信インフラが普及しないと、ドイツが官民挙げて取り組む製造業のデジタル化構想「インダストリー4.0」の実現にも影響が出ることから、9月の選挙後に誕生する次期政権は新たな対応を迫られそうだ。