独薬局団体全国連合(ABDA)は21日、国内の薬局が6月末時点で1万9,880店となり、昨年末(2万23店)に比べ143店減少したことを明らかにした。経営不振や市場の先行き見通しの悪化を理由に自営業者の店舗が209カ所、減少したことが響いた。複数店舗を運営する薬局の支店が66カ所増えたことから、減少幅は143店となった。
ABDAはネット薬局をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)が下した判決が業界に影を落としていると批判した。
ECJは昨年10月、オランダのネット薬局ドックモリスがドイツで行う処方薬の割引販売をめぐる係争で、処方薬の患者負担額(薬局での販売価格)を固定するドイツの法規制は欧州連合(EU)域内での物の自由移動を定めたEU法に抵触するとの判決を下した。これにより、ドイツ以外のEU加盟国に拠点を置く通販は処方薬の価格を同国で自由に設定できるようになった。一方、ドイツの薬局は薬事法の規定により固定価格での販売を引き続き義務づけられることから、競争上不利な立場に置かれている。
ECJは2003年の判決で、一般医薬品(大衆薬)の通販禁止はEU法に違反するとしたものの、処方薬については健康安全上の理由から通販禁止が可能だとの見解を示唆した。グローエ連邦保健相(キリスト教民主同盟=CDU)はこれを根拠に、処方薬の通販禁止を法制化する考えを示したものの、連立与党の社会民主党(SPD)は処方薬の販売価格固定ルールを廃止することを通しても国外通販と国内薬局の不平等を解消できると主張。与党内の意見調整ができず、法改正は実現しなかった。
ABDAはこれを踏まえ今回、9月の連邦議会(下院)選挙で成立する次期政権は処方薬の通販禁止ルールを導入すべきだと訴えた。