従来のドライバーが運転する車両と自動運転車が混在する交通環境を研究する欧州連合(EU)のプロジェクト。このような交通環境において、より円滑な交通の流れや安全性を確保するための道路インフラを研究する。
自動運転技術の研究開発では主に、車両やドライバーに重点が置かれているが、同プロジェクトでは、自動運転車の実用化による交通の流れや道路インフラへの影響を研究対象としている。
実施期間は2017年6月1日から2020年5月31日までの3年間。欧州の11社・機関が参加している。
同プロジェクトでは、自動運転車の普及などについて様々なシナリオを想定し、シミュレーションを使って交通状況を分析する。その後、オーストリア、スペイン、ドイツの試験区間で実証試験を実施する計画。
例えば、自動運転バスの導入が交通の流れを円滑にする効果があるかどうかなどについても研究する。
プロジェクトに参加するドイツのフラウンホーファーオープン通信システム研究所(FOKUS)は、FOKUSが開発したローカルダイナミックマップ(LDM++)をプロジェクトに投入する。
LDM++は、高精細地図(HDマップ)の地図情報を、周辺車両の走行速度や車載センサーの情報など、常に変化する動的な情報と組み合わせる。同時に、最寄りのサーバーを経由して、クラウドインフラを使用して、これらの情報を交通センターと交換する。
プロジェクト予算は約500万ユーロ。欧州連合(EU)が研究開発・イノベーション促進のための資金助成計画「ホライズン2020」の枠組みから全額を負担している。
調整役は、オーストリアの政府系機関であるオーストリアテク(AustriaTech)が務める。このほか、電機大手のシーメンス、高級車大手のBMW、デジタル地図サービス大手のトムトムなどが参加している。