オーストリア政府は22日、同国のイェルク・ライヒトフリート交通相の主導により、自動車メーカーとディーゼル車の大気汚染対策を協議する会議を開催した。自動車メーカーは、60万台を超えるディーゼル車の排ガス制御ソフトを無償で改修(アップデート)するほか、ディーゼル車から環境負荷の低い車両へ買い替える場合に奨励金(環境ボーナス)を出すことなどで合意した。
ソフトウエアのアップデートの対象となる60万台超のディーゼル車には、自動車メーカーが自主的に実施する車両と、リコールの対象となっている車両の両方が含まれている。自動車メーカーは、アップデートに応じたドライバーに商品券などの追加優遇措置を提供することでも合意した。また、ディーゼル車からエミッションフリーの電気自動車に買い替える場合には奨励金をさらに上乗せする。
自動車メーカーによると、ソフトウエアのアップデートにより、排ガスに含まれるNOxを平均で25~30%削減することができる。ただ、オーストリア政府は、ソフトウエアのアップデートのみでは十分に大気汚染を改善できないとの立場を示しており、自動車メーカーに対し、排ガス浄化装置の追加装備も提案したが、今回の協議では合意できなかった。政府は今後さらに自動車メーカーと協議を継続していく方針を示している。
さらに、ライヒトフリート交通相は今秋に「排ガス戦略2030」を発表する予定。
今回の会議には、メルセデスベンツ、BMW、起亜、フォード、ルノー、ポルシェ、フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、シュコダ、現代自、三菱自、オペルが参加した。